「毒になる親」

2003年11月16日(日)

短い夏があっという間に通り過ぎ、秋を感じる余裕もなく、気が付いたら暖房をかける季節となっていました。 診療所もオープンして3ヵ月がたちました。開院準備の時間が足りなかったため、 蓋を開けてみれば不備がいろいろとあり、慌てて追加工事をしたり、見直しをしたりとあわただしく時間が過ぎていきました。 予想外な出来事もいろいろありましたが、そんな状況を乗り越えつつ、皆一生懸命がんばってくれています。

でも、一番予想外だったのは患者さんたちのことです。 私は当初婦人科中心で、でも婦人科の疾患の中には心の問題が隠れていることが多いので、カウンセリングもやっていこうというスタンスでした。ところが、ク リニックに来る患者さんたちのお話を聞けば聞くほど(開院したばかりでまあ暇だということ?で、ゆっくり話を聞く時間があるからなんでしょうが)、"うー ん!"と考え込んでしまうことが多くなったのです。

これほど「壊れた」家族関係が多く、そのために自分の人生を自分らしく生き生きと生きられない人が多いとは!?

そんな時、スタッフが面白い本を見つけたからと診療所に1冊の文庫本を持ち込みました。(彼女自身が自分の問題として心に響くものがあったからなのでしょうが)「毒になる親」というなんだか凄いタイトルの本でした。アメリカのカウンセラーが約20年前に書いた本ですが、読んでみて納得がいく内容でした。

親から受けたネガティブな影響が将来子供にとっていかに大きくのしかかるか、そのためにどんなに人生を捻じ曲げられてしまうか、そしてそこからどうやったら立ち直ることが出来るか、そのような内容です。

20年前のアメリカでの話で、アルコール中毒の親や幼児虐待、レイプなどが出てきますが、今の日本ではそれらも決して珍しい話ではなくなってしまいまし た。それ自体怖いことだと思いますが、その土壌として壊れた家族というものが重大な問題なのです。外から見て壊れ方が解りやすい家族もあれば(離婚した両 親とか、家庭内暴力とか)、一見何の問題もなさそうな家族なのに中身は壊れた両親のパートナーシップの下に家族全体がそれぞれ問題を抱えた人生になってし まうケースもあります。


ネットを見ていてそのような問題と取り組んでいる施設やグループがあることも知りました。私にとってはまだまだ勉強して いかねばならない分野です。でも、診療所のこれからの方向性を示されたような気がしているのは事実です。 診療所に来られる皆さんと一緒に考え、解決策を模索していきたいと思っています。参考図書としてこの本を是非推薦したいと思い、当ホームページ上で紹介することにしました。一人でも多くの方に読んでもらいたいと思います。

これからどんどん寒くなっていくと思いますが、皆様風邪など引かぬよう(自己免疫力の高い人は引かないのですよ)毎日をハッピーに過ごしましょうね。


産婦人科医・臨床心理士 吉野一枝